とっておきの音楽祭in名古屋 2023

三輪ゼミでは、とっておきの音楽祭実行委員会との産学福連携協定を2023年8月に締結し、とっておきの音楽祭の広報活動をお手伝いしています。

〈協力者様突撃レポート〉義足のランナー・井谷俊介選手

 片足が義足のスプリンター。それが、井谷俊介選手(以下「井谷選手」)である。大学在学中バイク事故に遭い、右下腿部を切断せざるを得なくなった井谷選手が陸上を始めたきっかけは、母の勧めで、三重県にある大和鉄脚走行会に参加したことであった。大和鉄脚走行会は、いなべ市北勢町にある日下病院の皆さんによって立ち上げられたスポーツクラブであり、多くの障害のあるメンバーが陸上を行っている。井谷選手はその中でも、
走ることが得意で、陸上(ランニング)を始めた。ただ、義足などが高価であり、なかなか購入できず、本格的に始めることになったのは、支援者がサポートしてくれた、22歳のときであった。
 本格的に競技を始めて10ヶ月ほど経ち、出場したインドネシア2018アジアパラ競技大会100mで1位。翌年開催されたドバイ2019世界パラ陸上競技選手権では100mと200mでファイナリストとなった。
 数々の素晴らしい記録を打ち立てている井谷選手であるが、今回の取材では、パラスポーツや障害者スポーツの課題についても伺った。井谷選手は、パラスポーツの課題として資金面と情報の少なさ、設備面を指摘している。まず、資金面では、陸上の場合、義足にオーダーメイドの部分があり、1足150万円程度かかること、また、子どもは成長が早く義足をすぐ変えないといけないこともあり、資金面においても競技スポーツを始めることが難しいことを指摘している。近年、貸出の義足があるところもあり、このような取り組みで競技者を増やしていく必要があるとも語った。次に、情報の少なさでは、競技スポーツのみならず、障がいのある人たちがスポーツを行える場所の情報が少ないことを挙げた。井谷選手自身は、母の勧めがきっかけで、走ることの楽しさを改めて知り、競技スポーツを始めることになった。地方自治体や病院、学校などでこのような情報を発信していく必要があるのではないだろうかと私は考える。設備面では、新しい競技場や施設は車椅子用のシャワーなど完備しているが、古い施設はシャワーや女性用の更衣室がない場合があることを語った。競技場は段差など配慮を多くされており、スポーツをする前やした後の配慮が必要なのではないかと指摘している。

(文責・三輪ゼミR.T.)

井谷選手と筆者とパンダ老師