とっておきの音楽祭in名古屋 2023
三輪ゼミでは、とっておきの音楽祭実行委員会との産学福連携協定を2023年8月に締結し、とっておきの音楽祭の広報活動をお手伝いしています。
〈協力企業様突撃レポート〉竹田印刷株式会社様
アート・ブリュット(Art Brut)という言葉をご存じだろうか。フランス語で、「生の芸術」と訳されるこの言葉は、現在では、障がいのある人たちが作り出すアート(以下「アート」)を指す代名詞ともなっている。このアートの多くは、日の目を見ることは少ない。というのも、多くは自宅や施設の中に飾られ、時には不要なもの・お金にならないものとしてむげにされることもあるからだ。
そんなアートに光を当てることを仕事にしているのが、本日お邪魔した竹田印刷株式会社である。東京ビックサイトで開催される展示会の企業ブースにアートを使う提案をして以降、アートの素晴らしさに魅せられ、障がい者施設を回っては、逸材を発掘し、それらをデザインに落とし込んで、クライアント企業に提案する、そんな事業を展開してきた。
クライアント企業に採用されたアートは数知れない。写真を見ればそれを丁寧に線画で写し取るアーティスト、特定のメーカーの車しか描かないアーティスト、近くのコンビニに通い続け、日課のようにコピー機で自分の身体とお気に入りのものをコピーするアーティスト、自宅にあるちゃぶ台の上に油粘土で街を作るアーティストなど、既存のアートにとらわれない、自由な発想、奔放な表現が魅力である。何より、描こうと思って描いていない、ただ日課の一つとして、日常の一つとして、それら表現が存在していることも、その魅力を増す一つの要因であろう。
こうした日々の営みに、同社はデザインという付加価値をつけて、クライアント企業に提案する。クライアントは、「障がい者が作ったから」ではなく、「素晴らしいから」採用する。そして、アート使用料という正当な対価として障がいのある人たちに還元する。三者が対等にwin-winの関係を構築できる仕組み作りをしていることこそが、同社の大きな役割であり、功績なのではないだろうか。
2023年、アートを使った三部作の企業広告(雑誌掲載)が、日経BP Marketing Award 2023の金賞を受賞するという快挙を成し遂げた。アートの存在やそこに潜む背景が、社会的に認知され、評価された結果であろう。アートとデザインで世の中の境界線を越え、全てが包摂される社会に。その可能性を感じる同社の事業であった。
(文責・三輪ゼミM.M.)
取材の模様は、竹田印刷株式会社様のプレスリリース(9月19日)にも掲載されています。